レイチェルの結婚

怖いねぇー。


ドナルド・ハリソンが音楽を担当していました。新婦に捧げるサックス・ソロで、この人巧いナー...ん?みた事ある!わぉーっ!って感じです。ちゃんと挨拶の台詞あります。クリスチャン・スコット(tp)も見えた。って事で、音楽は結婚式パーティーの会場に流れる演奏が聞こえていて、カメラはハンディで、カチッと画面が変わっていく、編集無しのドキュメンタリー手法で描いていきます。要はホームビデオです。

ホームビデオだから画面に映る人々の会話でストーリーが進んでいくのです。家族の絆を保とうとしてオロオロするだけの父親、心に傷を背負って孤独に生きる麻薬中毒の妹、傷物に触るように家族に気を使われている妹に嫉妬を覚える姉、自分の事しか考えていないなんともヒドイ母親。この家族の秘密と葛藤が徐々に「えっ?」ていう驚きの連続で明らかになっていくのが、良くできているなぁって感心しました。

リアルなホームビデオを目指しただけにリハを少なくしてアドリブを沢山盛り込んでいるらしいです。いや〜な感じの家族会議の最中、バンドにむかって「うるせー!」って叫ぶのも咄嗟の台詞らしいです。ま、パーティーの準備から、お開きまでバンドが演奏しているって、あり得ないんですがね。このリアルさは、本当に訳あり家族に立ち入ってしまった客としての居心地の悪さを味わえること受け合いです。

音楽関係で成功したと思しき黒人新郎家族とバンドは東洋系の楽器を使っていたり、白人、アジア人、と様々な人種と、様々な文化が混沌とした、現在世界の至福の幸せの中、悲痛な物語が語られていて、観客は痛みを共有出来てしまうのが不思議です。そして、このハンディカメラの視点は誰なのか?鐘楼流しをするキムの場面でハッとして悲しみが押し寄せました。

今流行の、何でもかんでもハンディでブレブレの映像に辟易する向きもありますが、この映画で、これは必要条件です。酔いそうですが...。出演者、制作スタッフも錚々たるメンバーだし、音楽のセンスは良いし、また良い映画を観たなと思いました。川崎チネチッタ。観客7人だった...orz

公式サイト

レイチェルの結婚 [DVD]image

2009年05月08日 (金) at 23:04



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