ダーク・ムーン(上下)/馳
星周
相変わらず、救いようのない、どん底な雰囲気の「馳作品」です。人間不信に陥ります。読後の副作用に注意・・・。
舞台は カナダ、バンクーバー。マフィア、悪徳警官、政治家、企業家と、悪いヤツら総出演です。華僑社会の発展しているバンクーバーでの人種格差が、何とも云えず、暗澹とした思いに陥ります。日本人を「日本鬼」と呼ぶ、香港人。白人は「白豚」だし、「黄色い猿」なんて、当たり前。日本にいると感じない意識です。
金、暴力、セックス、ドラッグと、馳作品には欠かせない3要素を、バシバシ盛り込みながら、底なし無限地獄に、はまっていく、インモラルな様は、目をそらしたくなるほど。人間の業と欲を、力強く描き切っております。こういう「暗黒小説」を、たまに読みたくなるのは、日本人が日和っているからか?
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