魔笛/野沢 尚

今年の6月に44歳の若さで自殺してしまった野沢 尚です。脚本家として成功し、数多くのテレビドラマで活躍。97年の「破線のマリス 」で江戸川乱歩賞を受賞。これが、かなり”重い”小説だった・・・。独特の世界観です。


魔笛

新興宗教の起こす無差別爆弾テロ。公安警察の駆け引き。訳ありの平刑事と獄中の妻。異端SBSS(爆発物特別処理隊)の隊員。これだけで、六角橋近辺から、雄叫びが聞こえてきそうです・・・?

語り手が犯人っていう、異色ミステリーです。ただ、混乱する場面も多かった。なにしろ、主人公の心理描写も、実は3人称って事で乗り切っていくんですから・・・。前半は、かなりコレで苦しみました。チャプターも長いし、しょっちゅう見失ってしまいました。しかし、ラスト近くの場面転換は、スピーディーで、まるで映画のカット割りを、見ているような手法でした。描写にも、こだわりが見受けられて、野沢ならではって感じ。

破壊と狂気の美学とでも言いましょうか。堪能いたしました。

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2004年10月22日 (金) at 23:06



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