修羅の終わり/貫井 徳郎

警察機構の闇を描いた作品。800ページに肉迫する長編。はっきりいって疲れた。


修羅の終わり

国家の治安を守る「正義」に燃える公安刑事、久我。悪徳刑事の見本のような、強欲な鷲尾。新宿歌舞伎町の路上で、記憶喪失になっていた「僕」。3人の視点からストーリーが並列で、つづられます。場面がサクッと、転換するので、3つの物語の整理が大変で、しかも、時間軸も、ずれているので、混乱します。前世まで、出てきちゃう始末。

実は、3つの物語が収束していないのです。推理は、読者に任されています。解説を読んで、「あぁ」と納得。なのですが、巻末の笠井潔氏による解説でも、謎は残ります。以下ネタバレです。

第一の物語「久我編」と、第三の物語「真木編」の繋がりについては、明らかにされています。年代は同じ1971年で公安刑事の久我が、先輩の藤倉に命じられ芝浦の空き倉庫で犯した女が、真木俊吾の自殺した姉ということ。年代が1992年と異なる第二の物語「鷲尾編」は、独立した物語のようにも見えます。しかし、鷲尾に接触してきた白木こそが、20年後の真木俊吾だったとすると・・・。公安と結託して、鷲尾が懲戒免職になるよう根回し、警察関係者への傷害行為へ、ついには爆弾テロへと走らせるという「修羅」を歩んでいくわけですな。

欲望と憎悪に満ちた暗黒小説でした。

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2006年03月09日 (木) at 15:37



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