パンドラ・アイランド(上・下)/大沢
在昌
主人公のハードボイルドな生き様が、グッとくる長編です。
舞台は、戦後、米軍に占領されていた南海の孤島・青國島。元をたどると、全ての元凶は、そこにある訳で、そんな時代背景も、ハードです。
主人公は、臨時雇いの島の「保安官」として赴任した元警視庁刑事の高州康彦。平穏無事だった美しい島で、次々に起こる奇妙な事件を、きっかけに島民の隠された秘密に孤立無援な状態で立ち向かうという、お話です。交通手段は連絡船のみで、いったん霧が出ると一寸先も見えない孤島というのは、巨大な密室空間として、ミステリーの、ひとつの小道具として機能しています。
さらに、日本人特有の「ムラ」意識が、彼を更に孤立させるのですが、もっと強烈に排他的に書いてもいいんじゃないかな?ミステリーとしては、かなり早い段階でネタは、簡単にバレているので、盛り上がり不足な感もあります。
元妻がキャリアで、別れた夫を影ながら支える役回りも、好感度抜群です。ありがちな同僚との確執も、あるにはありますが、こちらは男の友情を感じて、大沢作品らしいかな。
教訓は、女には気を付けろって事です。
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