嗤う闇/乃南アサ

女刑事音道貴子シリーズの短編集です。


  • その夜の二人
  • 残りの春
  • 木綿の部屋
  • 嗤う闇

警視庁刑事部の機動捜査隊員から、隅田川東警察署刑事課に巡査部長として異動になった音道刑事です。下町の所轄署勤務だけに、細々とした仕事もこなさなくてはいけないわけで、より身近な親近感を、感じてしまいます。長編大捕物でガツンといって、短編で生活感や人情味を感じさせるのが、このシリーズのパターンなわけです。元相棒の滝沢刑事のエピソード「木綿の部屋」などで、その人となりを描くことで、シリーズの登場人物に、より深みが増します。個人的には、歯痒い一編でしたが...。「風の墓碑銘」でコンビ復活しているらしいので、楽しみです。

音道貴子シリーズを通して読むと、彼女の成長ぶりが、頼もしく思えます。オトナになったぞ。でもね、意地っ張りな所が好きだったりするんですが...。

今回の下町の現実を叙情的に描く筆も、流石です。くすんだ都会の陰影が、ストーリーと相まって、よく出ています。細かい事件ですし、驚くような仕掛けも無い、淡々とした感じの短編集です。

写真クリックでAmazonで詳細をみる

2007年02月16日 (金) at 12:30



1年前の同日エントリ 2年前の同日エントリ 3年前の同日エントリ 4年前の同日エントリ 5年前の同日エントリ 6年前の同日エントリ