分身/東野 圭吾

お得意の最先端科学もの。


分身 (集英社文庫)image

同じ身体を持った2人の少女のミステリー。それぞれの視点から真相に迫っていきます。お嬢様学校出の秀才で何不自由なく育った繭子、母子家庭でアマチュアロックバンドのボーカルを務める活発な少女の双葉。それぞれが、北海道と東京で自身の謎に挑み、それぞれに協力者に助けられ、裏切りを味わい、時空を超えた二重構造を紡ぎ出していく様は、まさに DNA 螺旋構造なのです。2人の性格の違いや、舞台も、繭子が東京で、双葉が北海道に向かうという、まさに敵地で奮闘するねじれ具合。この構成だけでも唸ってしまうのです。

クローン技術という昨今話題にのぼるテーマです。神の領域を犯す愚行というほど、非難するつもりはありませんが、倫理や宗教も複雑に絡んでくる問題であり、不老不死を実現出来る究極の医療であるのは確かです。そんなテーマのミステリーです。1993年に書かれている事にも驚かされます。かなりの理系作者ですね。

写真クリックでAmazonで詳細をみる

2008年02月24日 (日) at 19:11



1年前の同日エントリ 2年前の同日エントリ 3年前の同日エントリ 4年前の同日エントリ 5年前の同日エントリ 6年前の同日エントリ