落下する緑/田中 啓文

ジャズメン探偵物語短編集です。


  • 落下する緑—永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫)image
  • 落下する緑
  • 揺れる黄色
  • 反転する黒
  • 遊泳する青
  • 挑発する赤
  • 虚言するピンク
  • 砕けちる褐色

先日のライヴの時、六角橋系な先輩方に薦められた本。探偵役が天才肌のメチャクチャなジャズテナーマン。舞台はジャズ業界で「ああ、あるある!」または「あったら痛快!」みたいな、ありそうなシチュエーションで起こる事件でニヤニヤしながら一気読みしました。

ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記を読んだ後、「挑発する赤」を読むと、まさに溜飲を下げる思いです。何も聴いていない腐ったジャズ評論家を懲らしめる話です。評論家という香具師は、どこの世界でも信用ならん!です。僕も、とあるライヴで高名なジャズ評論家に「君はクリフォード・ブラウンのコピーだね」と言われて面食らった事があります。そのギグは、確かにクリフォードの曲なんか演っていたけど、全くモーダルなアレンジで似ても似つかわない炸裂した変態内容だったにも、かかわらず。第一、僕みたいなペーペーがクリフォードの様に吹けるわけがない。正直、この人と関わりたくないし「コイツ早く死んでしまえばいいのに」と思ってしまいました。

こんな共感できる話ばかりで、恥ずかしい思いもするのです。「反転する黒」なんか、現代の業界では、あり得ない出世話なのですが、作者のジャズに対する愛情を感じ取れる作品でね。主人公も木訥なジャズミュージシャンで、こんなヤツは、いそうもないのですが「こんなジャズ界だったら、いいのに」と思ってしまうのでした。物語に挿入されたオススメレコードも、かなりマニアックで( ̄ー ̄)ニヤリです。

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2008年09月22日 (月) at 02:00



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