The Wind/Franco Ambrosetti Quartet
最近のストーリー性のあるアルバムから外れて正統派ヨーロピアンジャズです。
ワンホーンカルテットで普通に演っています。近年のアンブロゼッティはメッセージ性の強い大作 CD を録音しているのでリスナーとしては、ちょっとした箸休め的なアルバムですね。ハードバップに溢れていて、とても楽しめるのは確かです。ピアノのユリ・ケインはクラッシックでも活躍しているマルチな才能を持っている人のようで、とても器用な感じです。
「The Wind」表題曲から哀愁のトランペットといった感じです。マイナー調のラテンリズムで大きなメロディーがシビレマス。ドリュー・グレスのベースもビヨーンと、いいノリしてます。
「Doxy」を、どう料理するかと思ったら流石にセンスがいい。クラレンス・ペンのドラムが主役です。ブルージーな中にも驚異的なフレージングでテンション高めデス。ユリのソロに向けて徐々にテンポを上げてノリノリです。
ユリのオリジナルで「Otello」は透明感のある流れるようなコードワークでアンブロゼッティのミュートトランペットとの絡みの主題からファンク的なノリに突入し盛り上がります。クールなアンブロゼッティの、どっしりと構えたソロは年の功を見せつけています。
続く「Stiletto」もユリのオリジナルでブルックリン派のようなリズムパートでモード手法の曲。ユリのソロはラテンフレーバーでテクニシャンぶりを存分に発揮しています。
アンブロゼッティのオリジナル「Frasi」は高速4ビートでトリッキーなキメが現代的です。後半からアンブロゼッティが入ってくるのでピアノトリオの演奏を存分に味わえます。ユリのバカテクと手数の多いクラレンスの組み合わせは、いい感じです。
スタンダードの「I've Never Been In Love Before」はシンプルにアップテンポな4ビートです。しかし一筋縄ではいかないアンブロゼッティのフレージングに毒は忘れないのです。
バラード「Lyrical Sketches」はピアノとのデュオ。しぶい。
アンブロゼッティのオリジナル「Mike On Wings」は、いかにも彼らしい軽快なテンポのバピッシュな作品。ショーターっぽい曲調にも男気を感じます。Yes Or No のキー違いみたいなコード進行で炸裂。
「African Breeze」はパーカッションとのデュオの小品。
- The Wind
- Doxy
- Otello
- Stiletto
- Frasi
- I've Never Been In Love Before
- Lyrical Sketches
- Mike On Wings
- African Breeze
- Franco Ambrosetti(tp)
- Uri Caine(p)
- Drew Gress(b)
- Clarence Penn(ds)
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