荒野へ/ジョン・クラカワー

荒野へ (集英社文庫)image

DVD 「Into The Wild」の原作という事で、映画を観てから読んでみました。ノンフィクションとして主人公の行動を関わった人々に対する取材から内面までをも浮かび上がらせる筆力は、素晴らしいジャーナリスト魂だと感心しました。

亡くなっている人間なので本当の所は分からない訳ですが、著者の冒険体験を重ね合わせて、厳しい自然に立ち向かう、くだりは、大変感動的でした。青年の純粋な精神論と自由への渇望は映画でも心を打たれましたが、単に無謀で危険な旅では無かったと言うことが分かって、映画のストーリーを補完する事が出来ました。特にエンディングの真実(想像でしかないのですが)は、映画ではモヤモヤ感を抱いていただけに、著者の主人公の若者に対する尊敬の念さえも感じられて、この物語に対する理解が深まりました。

不思議なバスを訪れた両親を描く場面は落涙必死。彼は真の自由を手に入れ、彼の家族も真の愛を取り戻した瞬間が心に刺さります。