いのちの食べかた

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食べ物とは何なのか?って。

既に畑で野菜を作り牧場で家畜を育てるという時代は終わっていて全てが工場生産で食物を作り出す世界なのですな。大量の農薬を使い巨大な水耕栽培施設や狭いゲージで豚や鶏を育て、さらに食肉に加工するまでの行程を、淡々と映し出すだけの、音楽もナレーションも排除したドキュメンタリーです。鶏の首を千切る、豚の臓物を処理する、林檎の選別、単純作業を繰り返す食物生産工場に従事している人々の食事風景を挟みこまれるのが、また切ない。粗末な食事で会話もなく、孤独な風景。

コストカットのみで本当に正しい生産工程を無視して工場生産化している食品業界の頂点に立つのは我々消費者なのですが、僕等も一円でも安いスーパーを駆け回るわけで、結局、自分たちも生産工程を気にして買い物をしていませんものね。「いただきます」と感謝を忘れないのは大切な事ですが、コレでいいのかと農家に育った私は思ってしまうのでした。

恋はデジャ・ブ

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節分です。この時期に観たい名作映画。町山智浩のアメリカ映画特電で紹介されていた映画でポッドキャストではニーチェにまで話が広がっていてとても興味深く観ました。ビル・マーレーらしい軽いタッチの人物像。自己中心的で出世しか考えていない嫌な TV キャスター役です。主人公だけが田舎町の2月2日(グラウンドホッグデーの祭日)から抜け出せないタイムスリップもの。

一日が終わると次に日には全てご破算、また同じ一日が始まるので、なんでも出来ちゃう。そうなると男の考えることは人格暴走とエロなことなのは当然。で、彼の追いかけるプロデューサーの女性は、なかなか振り向いてくれない。何回も何回も(何日も何日も)アタックしてもふられちゃう。絶望して自殺しようにも死ぬことも出来ずにまた同じ1日が始まってしまう。考えただけで気が狂ってしまいそう。同じ日を脚本上は三千回繰り返しているらしいです。ひぇ〜。

ラブコメの裏にオッサンの成長物語と今を全力で生きる永劫回帰思想が語られている…らしい。真の教養と人格形成を成し遂げた彼は、まさに無敵状態でモテモテなわけです。そんなに深読みしなくてもとても楽しめました。