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このカテゴリへのエントリ数: 最終更新日時: 2010-03-20 17:43 |
グラン・トリノ素晴らしい映画でした。 「バーン・アフター・リーディング」が、いまいちだったので、その足で口直し?で観ました。救われた...(笑)。 古き良き米国、強い米国、強い男。全ての素晴らしい時代の象徴であるフォード1972年製グラン・トリノとクリンスト・イーストウッド。妻は死に、朝鮮戦争を生き抜いた英雄も老い、時代は変わり、息子はトヨタのセールスマン。孫は今どきのピアス空けた空っぽのバカ、家族にも面倒くさがられ、人の言う事を聞かない頑固爺で、話し相手はワンころだけといった役どころのイーストウッドです。唸りまくって、怒り狂っています。 周りの住人はアジア系ばかりで、隣に住むモン民族の大人しい童貞ダメダメ少年が、悪い仲間に、そそのかされて、よりによって老人の魂(米国の魂)グラン・トリノを盗み出そうとします。頑固爺はライフルを手に怒り狂うのは必至。そんな事件から、孫ほど年の離れた少年と男同士の泣けるお話が始まるわけです。 米国という国自体のメタファーとして、アメ車は勿論、イーストウッド自身が戦争の罪の意識を背負ったまま死期の間近な老人として体現しています。なんたって悪者を殺しまくっていた「ダーティハリー」だもの。(この前、学生と話していてダーティハリー知らないって世代なのにビビッた)懐に手を差し込んだ時点で S&W M29.44マグナムキター!と画面に身を乗り出してしまうのですが、ここは老いぼれ頑固爺なので指だったりね。自分が朝鮮戦争で殺しまくっていた有色人種に米国の男の生き方を指南するというのも今日を写していますね。そして、この子が大人の男に成長していくのが、また健気なんだよね。老人の口の悪いヨーロッパ移民の友達も魅力的でした。男の魂は世代、人種や国籍に関係なく伝わっていくモノなのだ。 シリアスな物語な中にも笑いどころも多くて、そのバランスも絶妙で楽しめました。東南アジアでは本当に猫を食べるのかな?強い女の尻に敷かれる男の悲哀。最後までコミュニケーションの確立できない移民のばあさん...。なにより象徴としてのグラン・トリノ。東西問わず昔の自動車はセクシーで本当にカッコイイですね。エンドロールのイーストウッドの声から始まるジェイミー・カラムの歌、ジャズ好きのイーストウッドらしいセンス。走り去るグラン・トリノ。席を立てませんでした。生と死という永遠の命題から逃げずに下した彼の決断は米国の贖罪なのか?男として人間として、とても考えさせられる映画でした。やられたよ、クソジジイ。 |