美濃牛/殊能 将之

「貧乏で、ヤク中で、若死にしないやつは、ジャズマンじゃない、と思いこんでいる連中ばっかり」居る、ジャズ研出身で、コール・ポーターを、こよなく愛する名探偵「石動戯作」のデビューです。「サン・ラは前衛じゃない。ビッグ・バンドの最も正当な後継者だ」と、のたまう先輩も良いキャラです。出番少ないけど・・・。


美濃牛

まさに、分厚い「黒毛和牛ステーキ」並に厚い750ページにおよぶ長編・・・。山村の一族が繰り広げる骨肉の争いと、宗教的な神秘性を軸にしています。もう、まさに横溝正史の世界で、作者自身が捧げちゃっているわけです。「横溝正史へのオマージュ」。要は「犬神家の一族」なんですが・・・。どうでもいいけど、トヨエツの「八つ墓村」は最悪だったな・・・。

この覆面作家「ハサミ男」で、衝撃を受けたわけですが、大きな仕掛けが、有るわけでもなく、淡々と進んでいきます。俳句ばっかりだし。もう、いいよ。とか思っちゃいます。といっても、ポイントなんですがね。おっと・・・。

やっぱり、「ハサミ男」の強烈な印象があるので、ちょっと物足りなかったかな。窓音の神秘的な所や赤毛の一族の謎を、もっと掘り下げて欲しかったかも。

石動戯作は金田一耕助になれるのか?

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2005年06月30日 (木) at 18:07



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