ユダの福音書を追え/ハーバート・クロスニー

1970年、エジプトで見つかったパピルス写本が、辿る数奇な運命。事実は小説より奇なり。


ユダの福音書を追え

古美術商の手から手へ転々とし、専門家に存在が明らかになっても、10数年忘れ去られ風化が進み、解読には、大変な労力がかかり、やっと公開された「ユダの福音書」の辿った運命を、描くノンフィクションです。

金儲けしか考えていない古美術商の世界、所有権を主張する途上国と略奪を繰り返す先進国、名誉に目がくらむ学者達と、人間の強欲にまみれる運命は、ユダの呪いとしか言いようがありません。盗難や殺人事件まで起きてしまいます。「ユダの福音書」は、「ダ・ヴィンチ・コード」でも、有名になったグノーシス派の失われた福音書で、イスカリオテのユダは、裏切り者ではなかったという興味深い内容。人類の遺産として、それなりに扱われるハズなのですが、パピルス写本が銀行の金庫に保管されていたというから、びっくりです。

直訳的な文体で、非常に読みにくいです。ミステリー作家が翻訳したら、もっとスピーディーになったかも?しかし、世紀の大発見の裏側を知るという読み物としては、なかなか読み応えがありました。

さて、次は本家「原典 ユダの福音書」に、いこうと思います。

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2006年09月21日 (木) at 13:14



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