すべての美しい馬/コーマック・マッカーシー

ノーカントリー」の原作「血と暴力の国」を読んで興味を持った一冊です。


すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)image

アメリカ青春小説というカテゴリでは括れない叙情詩的な雰囲気。自分の家の牧場が人手に渡ってしまうことを知り、カウボーイを夢見てメキシコに渡る少年の話。馬というのは、1つの魂を元にした美しい動物であるという原住民の原始宗教的な逸話とは裏腹に、人間の暴力と強欲に、押しつぶされそうになる少年は信念をもって生き抜く清々しい様を、荒涼で美しい自然の中で描いていきます。ハイウェイを馬に乗って旅をする可笑しさもありますが、本人たちは大まじめで未来を信じる一途さ。人生、思うようには行かないんですけどね。

血と暴力の国にも通じる主人公の頑なさと、バイオレンスなのですが、完全悪ではなく、無垢な人間と自然の美しさ、そして友情が、淡々と描かれている雰囲気は、独特です。何回も読み返したくなってしまう一冊です。

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2009年01月08日 (木) at 22:01



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