できそこないの男たち/福岡 伸一

生物と無生物のあいだがベストセラーになった著者の新刊です。


できそこないの男たち (光文社新書)image

いきなり「できそこない」呼ばわりされる僕たちですが、生物学的に見ると、やっぱりできそこないなのでした...orz。神様がアダムの、あばら骨からイヴを作ったというのは間違いで、生命のデフォルトはメスでありメスをカスタマイズしたものがオスで抗体機能も弱く平均寿命も短く、すぐストレスに潰されてしまう弱い生命なのでした。

人間のメスは頭が良いからオスの体を大きく作り、外敵を追い払い、薪や食料をせっせと運ばせ、綺麗な宝石やお金を持ってこさせる手段として使い始めたんだそうで。初めは女系社会で安定した縦糸で繋がれ、遺伝子の多様化のためにオスの横糸が必要になってきただけ。使いっ走りのはずのオスが社会的に威張っている今の人間社会は、生物学的には既に行き詰まっているのではないでしょうか。とも考えられるのでした。

生物の授業で習った染色体の仕組みから、どうして性別が別れるのかという研究の歴史や、面白い科学者のエピソードも判りやすく、文章力も素晴らしいですね。どんどん引き込まれてしまいました。高校生レベルで十分読める科学モノ新書です。

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2009年01月16日 (金) at 13:01



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