Shades Of Blue/Dusk Fire/The Don Rendell & Ian Carr
Quintet
60年代英国ジャズ界を代表する、ドン・レンデル=イアン・カー・クインテットの貴重盤2枚が、カップリングされてCD化です。超幻の名盤の復刻です。ホントに入手が超困難で、中古市場では数十万円なんて値段で取引されていて、とても手が出ないシロモノでした。
今回BGOから一挙5タイトル/3枚で再発されることになりました。「Phase III/Live」も2in1で再発です。うひょー!激レア盤のCD化。しかも2in1ですよ。コレは買うしかないでしょう!これを聴かずしてブリティッシュジャズを語るなかれ。マイルスのクールコンセプトに、影響を受けた演奏となっていますが、英国ジャズのクリアで知的な透明感が、独自のものとなっていますね。モダンジャズの真骨頂を存分に味わえます。
1964年の超希少盤。ちなみにオリジナルカバーの女性は、この録音わずか3年後に亡くなったイアンの妻マーガレット。(T^T)イアン曰く「僕とドンが目指したものはブルースを演奏する事。・・・楽器同士のやりとりを取り入れて、自由なアプローチをとるように務めた。」らしいです。ブルースが、てんこ盛りです。
- レンデル作。4拍子と3拍子を巧みに入れ替えています。上行クリシェのラインが、渋い。メロディーとリズムが、全く違和感無く融合しています。ノンビブラートでせまるソプラノもクールです。
- レンデル作のボサもの。コーラス20小節ってのが、泣かせます。レンデルのソロ、バップですねー。短いながらも、イアンのソロも端正で良い。ソフトで良い音色です。
- コテコテブルースですな。キーはGですか。男です。レンデルのオヤジテナーが、唸ります。うを?転調しました。B♭ね。ソプラノに持ち替えたんですか・・・。あっ!またGに戻った。こういうのバークリー帰りのヤツ等が言ってたなぁ。なんて・・・。
- イアンの弟でピアニストのマイク・カー作の6/8ブルース。♭Ⅶ7-♭Ⅲ7-♭Ⅵ7-Ⅱ-7-Ⅴ7-Ⅰとオルタードで動く所が、聴き逃せません。クールブルースの基本です。コリンはブルーノートを多用した土臭い「ラウンジ系ピアノかよ!」みたいなソロを取りますが、続くイアンは、ひたすらクールです。楽器のコントロールも見事です。
- ベースラインがミンガスバンドみたいなブルースです。
- 急速テンポのバップ・ブルース。バップ魂炸裂です。イアンは、ハーマンでクラーク・テリー真っ青の、超絶ソロを披露。巧い!
- 米国の百科事典編集者という本職の傍ら、ニュー・ジャズ・オーケストラというセミ・プロ・ビッグバンドを率いていた、ニール・アードレーによるモード手法の実験的楽曲。物凄い哀愁感を漂わせています。霧のロンドン?ソロとバッキングの2小節交換の黄昏・・・。泣けます。
- イアンによるブルースナンバー。60年代のマイルスっぽい音です。レンデルとカーのソロのやり取りがスリリングです。これから更にモードからフリーへと傾倒していく、このバンドの方向性の芽吹きが感じられます。
- Blue Mosque
- Latin Bue
- Just Blue
- Sailin'
- Garrison 64
- Blue Doom
- Shades of Blue
- Big City Strut
- Ian Carr(tp)
- Don Rendell(ts,ss)
- Colin Purbrook(p)
- Dave Green(b)
- Trevor Tompkins(ds)
1966年の最高傑作と呼ばれたブリティッシュジャズの金字塔的名盤。ピアノがコリンから、マイケル・ギャリックに変わっている以外は、Shades Of Blueと同じメンツです。コリンより派手ですね。全てファーストテイクという、レギュラーグループならではの、見事なコンビネーションを堪能する事が出来ます。英国のマイルスバンドと云われた事にも頷けます。
- フルートとハーマンという、陰な曲でオープニング・・・。欧州ジャズですな。
- サムフーという中国の着物から取ったタイトル。ともすると、ジャズ・ロック的なアプローチになりがちな曲想ですが、ギャリックのピアノが、そうはさせません。ホレス・シルバーだった日にゃ目も当てられませんが・・・。こやつは、やはり、只者ではありません。
- イアン曰く「ホールトーンスケールを暗示するハーモニックフィーリングを持つ曲。」だそうですが、難しい事は分からなくても、この手の雰囲気は、紛れもなく欧州ジャズです。黄昏れたテナーに哀愁のフリューゲル。泣きます・・・。
- キター!ド変態12/8拍子だそうで・・・。クラとトランペットに断片となって分割されたテーマ。ピアノの高音トリル。このバンドのオリジナリティを体現したかのような曲。とライナーにも書かれています。はい。イアン曰く「面白いのはメロディーがこれだけ分割されているのに、整合性を失っていない所、最初はバラバラだったクラスターが、より複雑なフレーズへと形を変えていく事なんだ。」ふ〜ん・・・。前年の「E.S.P」に続いて「Miles Smiles」を発表していたマイルスバンドも真っ青です。むしろこっちの方が良い。すでに、ヨーロッパで、もっとも先鋭的なバンドであったわけです。いやー。目ん玉飛び出ちゃいます・・・。
- ギャリックによるクラシカルな響きを持つ曲。ソプラノとトランペットによる哀愁のハーモニー。ソロ部では、2ビートと倍テンが、目まぐるしく入れ変わり、動と静、明と暗。うーん見事です。
- マイルストーンですな。モードです。マイルスよりも、重くて太い音で、吹き倒すイアンです。混沌の中から抜け出す瞬間が、気持ちいい〜!前半のピアノレストリオ状態の緊張感が、たまりません・・・。レンデルも男入魂のソロ。そして、ギャリックのソロピアノ!うひゃー!マイルストーンのスライドピアノなんて初めて聴いた。ドラムソロの後テーマなんですが、ギャリソンの悪のりは続いています・・・。この曲を小馬鹿にした態度には、好感持てます。マイルスは笑っていろー!
- ギャリックによる表題曲。完全にコルトレーンです。翌年コルトレーンが死去し、フリー・ジャズの嵐にヨーロッパは飲み込まれる訳です。そんな、予兆も感じられます。ベースソロのバックでは、ハンド・ドラムにハンド・クラップ、ピアノの高音トリル・・・。後にビッグバンド用に書き下ろされています。どんなんだろ?やっぱり平気な顔で♭9書いているんだろうなぁ。
- Ruth
- Tan Samfu
- Jubal
- Spooks
- Prayer
- Hot Rod
- Dusk Fire
- Ian Carr(tp)
- Don Rendell(ts,ss)
- Michael Garrick(p)
- Dave Green(b)
- Trevor Tompkins(ds)
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