Phase III/Live/The Don Rendell & Ian Carr Quintet

先に発売されていた「Shades Of Blue/Dusk Fire」に続いて「Phase III」と「Live」の2in1が再発です。


Phase III/Liveimage

英国ジャズ最重要グループの歴史的名盤が、これでもか!とCD化されると、涙がチョチョ切れます。この後1969年の「Change Is」を最後に解散します。そんな事を考えると、この2作品は、このバンドの最頂期を記録し、また転換点ともなった、歴史的な作品となるわけですな。演奏の方は、最高です。コリンの後継として加入したマイケル・ギャリックが大活躍です。まさに、バンドの音楽的なコアになっているプレイヤーです。この録音辺りから、レンデルとイアン&ギャリック陣の、演奏手法に溝が感じられるようになります。モードとフリー的な手法を、未だ確立していないレンデルは、いま一歩消化不良感が感じられますが・・・。

  • Disc1 Phase III

メジャー第3作目にして、「Dusk Fire」と並ぶ傑作となった1967年録音の「Phase III」です。マイケル・ギャリックの加入によって、大きく変化したバンドコンセプトを、なおも推し進めた快演です。文学にインスピレーションを得た楽曲を中心に、かなりコアなジャズを目指しています。

  1. ダウンビートでコレかけたら、「おかしな曲ですね・・・。」って、こばめぐに言われてしまった。うーん。変な曲です。「Crazy Jane」は、W.B.イエツの詩に出てくる登場人物で、「音楽のための詩」と詩人自身が呼んだ作品の中心人物だそうで。6/4拍子で2小節、5/4拍子で1小節、6/4拍子で1小節、4/4拍子で3小節、2/4拍子1小節という8小節テーマ・・・・。なぬーっ?判らんー!って、ソロはブルースだから、安心して下さい。コケティッシュなギャリックのソロにニヤリとして下さい。バッキングでも強力に変です。
  2. うぉー!これも、おかしな曲?AABA形式ながらも、Aは一発もの。ブリッジのコード進行はコルトレーンチェンジってヤツ?イアンのソロは、きらびやかで、躍動的です。レンドルは、バッパーですな。レスター・ヤングっぽいって、ライナーには書いてあるけど、もっと堅い音です。
  3. 15世紀の詩人フランソワ・ヴィヨンの「ヴィヨンの遺言書」という作品からインスパイアされた、イアンによる感傷的な曲。奇妙なハーモニー感が、また、良いんです。メロディーとベースラインだけ書いたらしいですね。フリー・バラードです。2管の混沌から、やっぱりキャリックが、浮かび上がってきます。凄く叙情的で美しい。キースに通じるモノがあるかも。
  4. レンデルは、中古屋で8ポンドで買ったという、木製フレンチフルートを吹いています。柔らかい音しますね。ピッチはヤバイが・・・。
  5. でた・・・。ギャリックの曲。古代インドの「チャウラパンチャシカ」という詩から作られたらしい。ソプラノが怪しい雰囲気を醸し出します。レンデルは、演奏手法の違いを、ソプラノの音色でカバーしている感がありますね。
  1. Crazy Jane
  2. On!
  3. Neiges d'Antan (Snows of Yesteryear)
  4. Bath Sheba
  5. Black Marigolds
  • Ian Carr(tp,flh)
  • Don Rendell(ts,ss,fl)
  • Michael Garrick(p)
  • Dave Green(b)
  • Trevor Tompkins(ds)
  • Feb.23.1967.
  • Disc2 Live

1968年3月18日ロンドンのランズダウン・レコーディング・スタジオでのライヴ・レコーディングです。スタジオ・レコーディングとはいえ、お酒も入り、いつものギグと変わらないような、パーティー状態。盛り上がっちゃっています・・・。

  1. オープニングから、このバンドの真骨頂が炸裂です。ギャリックによるジェレミー・ロブソンの詩に合わせて作られた曲。クラリネットとミュート・トランペット(ストレート?)のメロディーハーモニーも渋い。オープンで吹きまくる、イアンのソロが抜群です。続くレンデルも、気合い入っています。これは、生で聴いたら、凄いだろうなぁ。聴衆も思わず「イヤッホゥッ!」です。
  2. 珍しくオーソドックスに、レンデル作のスローナンバーです。クラとハーマンのハーモニーが哀愁を帯びています。
  3. イアン曰く「僕たちのロックン・ロール・ダンス・チューン。」って、全然ロックじゃないけど。イアンは、ペダル音域まで、駆使したエモーショナルなソロを展開。
  4. イアンの故郷ニューキャッスルのサックス奏者ジェフ・ヘドリーによる超速スイング・チューン。
  5. これもギャリックによりジェレミー・ロブソンの詩に合わせて作られた曲。ポエトリー&ジャズ・ムーブメントってヤツですな。テーマ部でもインプロビゼーションが取り入れられていて、自由な感じです。なによりメロディーが美しい。
  6. あんた!さっき、そう言ったじゃん!って曲。それぞれの楽器による掛け合いインプロビゼーション対決。難しく言うと会話的手法。ミュージシャンの懐深さとレヴェルの高さが感じられます。
  1. On Track
  2. Vignette
  3. Pavanne
  4. Nimjam
  5. Voices
  6. You've Said It
  • Ian Carr(tp,flh)
  • Don Rendell(ts,ss,cl,fl)
  • Michael Garrick(p)
  • Dave Green(b)
  • Trevor Tompkins(ds)

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2004年06月23日 (水) at 12:51



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