オバマ・ショック/越智 道雄、町山 智浩

演説集に続いてオバマ関係でもう一冊。対談集です。


オバマ・ショック (集英社新書 477A) (集英社新書 477A) (集英社新書)image

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」で語られていた、どうしようもないバカ米国の実態を再びふまえた上で、出現すべく生まれたオバマ政権を解説しています。自由と平等の国と賛美されるアメリカなのですが、「自由」と「平等」は本来相容れない正反対の思想であって、そのしのぎ合いの中でアメリカの歴史が動いてきたわけです。民主党と共和党という二大政党制はその体現なので、リベラルと保守の間で揺らいでいる政治だったんですね。

キリスト教福音派に基盤を置き「神の見えざる手」を本気で信じていたブッシュ政権のデタラメな自由主義によって引き起こされた現在の状況を、はるか移民時代、南北戦争から遡って解説しているので、オバマについての本というよりアメリカ近代史の本といった方が良いかもしれません。人種問題、宗教と政治、そして先の世界恐慌でのニューディールも詳しく出てくるのでオバマが、これから何をしようとしているのかが、よく分かる一冊です。

一方ダイナミックな変化を続けるアメリカという国を羨ましくも思いました。今や一流 IT 企業の社長は殆どインド系だし、白人主導で、ここまでやっても埒が明かないから、全く未知の宇宙人(黒人大統領)に取り替えちゃうチェンジが実現出来る国なんだなぁと。硬直化して首切りばかりに走る企業や世襲議員ばかりの日本政治とは大違いな、真に「自由と平等」を追い求める国なのかもしれない。バカだけど...。

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2009年02月11日 (水) at 13:02



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