Jazz For More.../High Five Quintet

セカンドアルバムの方が、何故か有名だったりする High Five Quintet のデビュー作です。


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オッサン達も頑張っているし、若手(すでに超売れっ子)も元気の良いイタリアンジャズ界です。イタリアンハードバップといっても、どちらも懐古趣味的ではなくて、今現在のハードバップを自身の解釈で提示しようとしていて、新しいモノを作り出そうとしている意欲が、イタリアジャズ界を盛り上げている一因でしょう。そんな音楽の本質を突いてくる気概が感じ取れる彼らの1枚目のアルバムです。

「Ju-da」はサビのラテンリズムの効いた元気の良い曲。快調に飛ばすダニエル・スカナピエコのテナーサウンドは男らしくて良いです。ファブリッツィオ・ボッソの細かいフレージングもテクニカルなイタリアンプレイヤーの見本市のようです。
「Rong Time Rag Time」はジャズワルツのシブイ曲です。十分なソロスペースで各人のソロを堪能出来ます。ボッソがちょっと拍子抜けなソロで残念...。
「The Jody Grind」はファンクブルースで盛り上がります。マッツァリエロの寸止め的なソロにワビサビを感じます。ボッソとスカナピエコのバトルで悶絶。影のリーダー、ロレンツォ・トゥッチのドラムよりもピエトロ・チャンカグリーニのベースが繰り出す力強いビートが踊らせます。
「Agosto」はボサリズムの優しい感じのする曲です。「Once I Loved」を彷彿とさせるボッソの豊かな音色のフリューゲルが絶品です。どこか懐かしい哀愁のメロディーはユーロジャズの人気の秘密でしょう。
一転して元気な「On The Way Home」はバッピーな60年代サウンドです。ボッソの溌剌としたソロは圧巻です。チャンカグリーニのベースソロには唸ってしまいます。上手い!
スタンダードバラードの「Easy Leaving」はスカナピエコの甘美なテナー炸裂です。ボッソの流麗なソロも、なんと美しいことか。ここでもやはりチャンカグリーニのベースは職人芸。
「Fast Mood」は、その名の通り超高速で疾走するスリリングな曲です。ボッソの超絶技巧には卒倒します。なんでこんな事吹けるんだ?マッツァリエロの指も良く回るもんだ...。
「Waiting For D」は「All Blues」が顔を出すポリリズム風の不思議な曲。ファンク的なリズムに浮遊するコード感と徐々に熱を帯びるボッソとスカナピエコのバトルは僕の脳髄に一撃を食らわせました。一体 D とは誰を待っているのでしょう?
「Dear J」はストレートなファンクブルースです。こういう基本的なラインをいかに歌うかが大事なんですね。およそ2分間の小品です。
  1. Ju-da
  2. Rong Time Rag Time
  3. The Jody Grind
  4. Agosto
  5. On The Way Home
  6. Easy Leaving
  7. Fast Mood
  8. Waiting For D
  9. Dear J
  • Fabrizio Bosso(tp,flh)
  • Daniele Scannapieco(ts)
  • Julian Oliver Mazzariello(p)
  • Pietro Ciancaglini(b)
  • Lorenzo Tucci(ds)
  • Rec.2002.
  • Via Veneto Jazz
2008年07月07日 (月) at 17:15



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