Earfood/The Roy Hargrove Quintet

ロイ・ハーグローブがアコースティックなハードバップに戻ってきた?


Earfoodimage

前作「Nothing Serious」に続いてジャズしてます。が、リズム的には、8ビートが多くて「Rh Factor」のアイディアを消化してアコースティックバンドで実験みたいな感じも受けます。ドラムのモンテス・コールマンはラッセル・ガンの思いっ切り電化した「Plays Miles」で叩いていた人ですし。で、模索中な感じが強いのですが、なにしろ長すぎ。アップテンポは皆無で、似たようなリズムばかりでバラードが多いのです。13曲1時間超えは、ちょっとね...。

ピアノのジェラルド・クレイトンはベースのジョン・クレイトンの息子なんだそうで。どこの世界も二世が台頭する時代なのね。ところで最近は自己のビッグバンドも組んでいるようです。このメンツが全員参加しています。明日、ブルーノートに聴きに行って来ます。(^_^)

1曲目からグルーヴィーなファンク「I'm Not So Sure」です。シダー・ウォルトンの作曲!?ブルージーなソロをかますハーグローブに対しキレ気味のジャスティン・ロビンソンの壊れ方が絶妙。ジェラルド・クレイトンが上手くまとめています。
ハーグローブの作曲「Brown」もカツカツ系のボサっぽいリズムでカップミュートとサックスのアンサンブルがオシャレです。
続けてハーグローブ作で「Strausberg/St.Denis」はポップなインストブラックミュージックといった雰囲気です。ミュートしたピアノソロがカッティングギターのような響きで面白い。コード進行もフュージョン的。
「Starmaker」はピアノのブロックコードがギターのような響きでリズム的にはボサノバ系。空間を上手に使ったロイのフリューゲルが哀愁を帯びて響きます。激情型のジャスティンが突飛な盛り上がりですが、静かな中に熱い魂を感じる一曲です。
バラード「Joy Is Sorrow Unmasked」もハーグローブの作曲。アレンジも凝っていていい感じです。
「The Stringer」で、やっと4ビートが出てきた。なぜかホッとするのです。ヘソ入りハーマンミュート?でのソロはオチャメな感じ。コールマンのビートはタテノリで好きじゃない。
「Rouge」は叙情的なバラード。ソロは無くて旋律をルバートで演奏するのみのリリシズム。
フレディー・ハバードで有名なウェルドン・アーヴィン作の「Mr. Clean」はファンクリズムに乗ってのインタープレイが強烈です。ジェラルドが縦横無尽に駆け回ります。フロントのアーティキュレーションが合っていないのが気になりますが...。
ハーグローブの作で「Style」は、とっても入り組んだリズムで大変そうな曲です。トリッキーなシンコペーションです。
バラードの「Divine」はワンホーンカルテットで歌心溢れるプレイです。
ラリー・ウィリスの「To Wisdom The Prize」はカツカツ系ボサで哀愁漂う雰囲気。なんか、こういうリズムばかりで飽きちゃうねぇ...orz
「Speak Low」をスローで演る。元々長い曲なのでメロディーのみ。ハスキーなフリューゲルのワンホーンカルテットで朗々と唄いこみます。とろけちゃいますな。
最後はライヴ録音でサム・クックの「Bring It On Home To Me」です。重いゴスペル三連ブルースで観客も全開です。この盛り上がりは是非 CD で聴いてみたい録音なのですが、出ないかな?
  1. I'm Not So Sure
  2. Brown
  3. Strausberg/St.Denis
  4. Starmaker
  5. Joy Is Sorrow Unmasked
  6. The Stringer
  7. Rouge
  8. Mr. Clean
  9. Style
  10. Divine
  11. To Wisdom The Prize
  12. Speak Low
  13. Bring It On Home To Me
  • Roy Hargrove(tp, flh)
  • Justin Robinson(sax)
  • Gerald Clayton(p)
  • Danton Boller(b)
  • Montez Coleman(ds)
  • Rec.Sep.19-21.2007.
  • Universal Classics

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2008年09月19日 (金) at 15:01



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