あの日からのマンガ/しりあがり寿

あの日からのマンガ (ビームコミックス)image

僕のお気に入りは「ヒゲのOL薮内笹子image」だった、しりあがり寿先生です。「ジュリアナおやじ」も最高だった!あの頃はバブル末期だったねぇ。今、読み返せば好景気の中、「こんな上っ面の幸せは本物じゃねぇ」と訴え続けていたのを理解できる若輩者ですが。そんな作者は震災直後から漫画を描き続けているわけで、ある意味、真正面から漫画と震災、そしてゲンパツに向き合った、日本では稀有な表現者であろうと思います。新聞連載の4コマ漫画とはいえ逃げない強さが感じられます。

堅苦しい内容ではなく、地球防衛を目的としながらも何も守っていない(笑)「地球防衛家」の4コマ漫画でギャグ漫画です。余震や停電で不安の中、オロオロた1年前の生活を思いだしてニヤリとしたりする感じです。独特の線描画でストレートな表現の多い作家だと思っていました。が、テーマがテーマだけにユーモアと本質を突くバランスが難しいと思われるのですが、これが絶妙。不思議と心に残ります。

作者自身も被災地に行き、感じたことを大上段に構えた正論を振るうわけでもなく、淡々とした日常を綴っていく4コマ漫画で、この1年は忘れてはいけないのだな、と改めて感じたのでした。そして終わっていない。何も解決していないですし、まだまだ続く事のなのです。と、1年経って気持ちが引き締まりました。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です