くもりときどきミートボール

年末に観に行ったのですが…。IMAX3Dで観たかったので、109シネマズ川崎まで出張りました。というのもライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルで川崎IMAXシアターで観るべし!と激押しされていたので初めて3D体験しました。あの赤と緑の眼鏡をかけて…ではなく、今はカッコイイでかいウルトラセブン形状のメガネをかけて鑑賞しました。ビックリしたー!

オタク脱却物語な訳ですが、ヒロインもオタッキーの眼鏡女子で「眼鏡かけていた方がカワイイよ」という台詞に「眼鏡萌えの真髄心得ているねーおぬし!」と感心。空から食べ物が降ってくる荒唐無稽な世界を表現するのに妙にリアルになりすぎない 3D 描写がうまいこといっているなぁと思いました。

物語は引きこもり理科系男子の成長が自ら開発した空中食料工場に行って帰ってくるだけのベタな道筋ですが、アニメとして空想の世界を表現するリアリティのギリギリの線をうまいこと越えそうで超えない具合が絶妙でとても良かったと思います。食べ物を扱うので完全にリアルを求めると、ただゴミが降ってくるだけになってしまうと思うので。ポップな表現が合っていたかなぁと思います。

IMAX3Dは良いよー!疲れないし。出来れば真ん中の中くらいが観やすいと思います。これから 3D 上映は、ココにしようと思います。

公式サイト

くもりときどきミートボール コレクターズ・エディション [DVD]image

われらが歌う時(上・下)/リチャード・パワーズ

われらが歌う時 上image

われらが歌う時 下image

これもTBSラジオ「ストリーム」の書評で読んでみたくなった大作。分厚い上下巻だけど正月休みだからね。

亡命ユダヤ人物理学者と黒人歌手の間に生まれた3人の子供の話。人種差別の激しい1930年代の米国の歴史的コンサートで出会ったユダヤ人と黒人の夫婦物語と1950年代の子供達の物語が交錯して、時空の螺旋となって絡みあって描かれていきます。音楽を拠り所にしつつも、反面、音楽によって引き裂かれる家族の絆はとても悲しい物語。しかし音楽こそ人種問題、貧困社会問題、果ては物理学的時間の秘密をも解き明かす鍵になる訳です。

天才声楽家の兄、伴奏ピアニストの弟、音楽的な才能に恵まれながらも黒人解放活動家となってゆく妹。クラッシックからジャズ、ヒップホップまで、まるでバックグラウンドに流れているかのように物語に盛り込まれていて音楽好きにはたまらない上下巻です。

未だに人種問題は変わっていないのだろうけれど、革新的な黒人大統領の誕生とともに、この本を読むと、美しい音楽とともに希望が湧き上がってきます。

今回のおみやげ

ポケット版 学研の図鑑〈3〉動物 (学研の図鑑 (3))image

新訳 星の王子さまimage

諸般の事情により少し遅めに帰省したのですが甥姪の本のお土産は忘れずに。

男子は図鑑で女子はファンタジーでしょう。ということで著作権が切れ新訳が続々と出た「星の王子さま」は小島 俊明訳を選んでみました。内藤 濯訳よりも少しは読みやすいかな? 個人的には、あの独特の荒涼感を漂わせる日本語は好きなんですが、小学生には、どうにも読みにくいと思ったので…。

今日も雪が降ってきましたが夕方に帰る予定です。

田村はまだか/朝倉 かすみ

田村はまだかimage

お正月休みに未読本を消化しています。

どこかの書評で紹介されていて読んでみた本です。舞台は札幌すすきのにあるバーで同級会3次会。40歳の男女+マスターの人間模様。雪で飛行機と電車が遅れて、同級会に間に合わなかった田村という同級生を、ひたすら待っているだけの話。田村という人物を同級生の口から様々なエピソードで語られる訳ですが、とーってもいいヤツなんだ。小学六年生にして男の中の男というか、人生を達観しているすごいヤツ。読者も田村を恋い焦がれて待つわけです。「田村はまだか」と。

家庭のあるヤツ、離婚したヤツ、不倫に巻き込まれてダメなヤツ、そして未だ独身貴族、と、それぞれの人生を田村に絡めて語られるわけですが、まぁ人間40歳を超えてもアホだなぁと。でも君の気持ちは痛いほど分かるよ。と思ってしまうのは僕も同年代だから。田村に興味津々のマスターも場末のバーの雰囲気で良い味出している。結局田村を待っている一夜なわけですから田村は登場しないのですが、最後の最後で会えるのです。かなり衝撃的な出会いなのですが、これがまたカッコイイんだなぁ。「田村はおれだが?」