40°/Flavio Boltro

フラビオ・ボルトロのワンホーンリーダーアルバム。


Forty Degreesimage

フラビオ・ボルトロを最初に聴いたのはジョバンニ・ミラバッシの「(((air)))」というかなり変態的な出会いだったわけですが、ステファノ・ディ・バティスタの「A Prima Vista」、ファブリッツィオ・ボッソとの喇叭対決「Trumpet Legacy」と追いかけて来てしまいました。去年のシャネルのライヴに行くときに買ったアルバム。ライヴではこのアルバムからの曲を中心に演りましたが、いかんせん寄せ集めバンドだったので、消化不良。で、ロベルト・ ガットのライヴにも駆けつけたわけですが、やはり予定調和的なセッションで欲求不満。いつかリーダーバンドを生で聴いてみたいと思っているのですが…。

スタンダードの2曲以外はボルトロのオリジナルという気合いの入った意欲作です。で、なぜ四十度?

「Doctor K」はモード色の強いアップテンポの4ビート。リズム変化も面白いしテーマの疾走感が抜群です。長尺なフレージングは彼の魅力ですが、ここはセーブ気味かな。レニーニが抜群にカッコイイ。
全員ユニゾンのテーマが楽しくなっちゃう「Idea」はミドルテンポのブルース。ボルトロのソロ前半のピアノレス状態が緊張感があって良いです。レミ・ヴィニョロのベースが、もうちょっと暴れても良いかも。
レミとのデュオからロマンチックに始まるバラード「You're My Everything」です。おいしいフレーズ満載。特にカデンツァが絶品です。
ニューオリンズ風セカンドラインリズムの「Take Away」は、もうちょっとソレ風に吹いて欲しい。色々詰め込みすぎじゃない?ってくらい吹きすぎで、飽きて来ちゃうのが残念。いや、物凄く上手いのですがね。フランク・アグロンも手数多すぎかな。
「First Smile」〜「Jazz A Doc」はライヴでは繋げて演っていたので組曲と言ったところです。「First Smile」は物寂しげなメロディーが繰り返される呪術的なトランスミュージックとでも表現しましょうか。
ドラムソロを挟んで「Jazz a Doc」に突入するのですが、テーマと言えるものは超速いフレーズの断片のみで、テンポも柔軟に変化する限りなくフリーキーな曲です。これらの2曲を聴くと御大エリック・レニーニの独壇場。エリック・レニーニ・トリオ+1ですな。
スタンダードの「If I Were a Bell」は深いリバーブをかけたミュートトランペットが浮遊する緊張感のあるインタープレイからテーマが顔を出し、そのままの高いテンションのまま疾走するのでした。ジャズの醍醐味じゃないでしょうか。
「Sabine」はテーマが終わるとテンポも早くなってファンクリズムに突入しレニーニの躍動感の中にも何だか叙情的な雰囲気の溢れるソロへ。で、またキメのフレーズでテンポが戻る。で、また早くなってボルトロが暴れるという構成。挑戦的で面白いなぁ。
「Les Amis」は、いかにもヨーロッパ的な ECM くさい曲です。これもリズムとテンポが変わるインタープレイ感情主義的なコンセプトです。フリーキーな中にも、どこかスパニッシュな雰囲気のある曲調で哀愁漂います。
「Magic Boltro」は単一フレーズの繰り返しの手抜き?なテーマですが、ミドルテンポの4ビートでバピッシュなプレイに徹しています。レニーニもサラリとメカニカルなフレージングで光るプレイです。
  1. Doctor K
  2. Idea
  3. You're My Everything
  4. Take Away
  5. First Smile
  6. Jazz a Doc
  7. If I Were a Bell
  8. Sabine
  9. Les Amis
  10. Magic Boltro
  • Flavio Boltro(tp)
  • Eric Legnini(p)
  • Remi Vignolo(b)
  • Franck Agulhon(ds)
  • Rec.Aug.12〜14.2002.
  • Blue Note

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2008年07月08日 (火) at 10:46



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