灼熱の魂

TOHOシネマズシャンテで観てきました。レバノン系カナダ人原作の戯曲の映画化です。双子の姉弟が母親の遺書に従って姉が父を探し息子は腹違いの兄を探して中東を旅するストーリーです。さらにイスラム教とキリスト教の内戦状態の中、母親は息子を産むわけですが、離ればなれになった、その息子を探す旅が、同時進行で描かれるわけで、合計3つの話しが進むので、舞台では表現しがたいですな。

キリスト教徒による虐殺を目の当たりにしてキリスト教徒でありながらキリスト教の独裁者に激しい憎悪を抱く母親の波乱の人生がキツイ。ここで長男の少年兵として拉致されての人生を入れれば4つのストーリーが進行していくのですが、映画ならではの表現だなぁと感心した次第です。姉が言葉の壁に苦しみながらも、歓迎されていない客である事に感づくレバノンの埃っぽい場面は「バベル」のモロッコ編みたいだなぁって思ってみたり。

「焼き尽くす」とか「焦土」を意味する「アンサンディ」という原題です。ラストは衝撃的な結末で、なかなかあり得ないのですが、文字通り内戦によって国土と人間の生活が破壊し尽くされていく悲惨さが心に沈んで、重い映画でした。未だに中東では、こんな戦いが繰り広げられていて、カナダやアメリカには同じような境遇の難民が沢山居るのだという事を思い起こさせてくれました。日本の戦争体験のある年寄りと同じように、そして、この映画のように悲劇を背負ったまま話さないで居る人達も、大勢居るのだろうな。世界に背を向けて埋めてくれと。

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