グレッチェン・パーラトというヴォーカリストの2012年のライヴ盤です。2004年のセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションで優勝、ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターが絶賛しているという話を聞くと「むむむっ」と、いつもの僕ならば色々な方面からの理由で華麗にスルーするはずの歌手なのですが、この歳になると残り少ない耳人生聴かず嫌いは損であるという気持ちに立ち返り購入した次第です。そんな関係からかハービーの「Butterfly」とショーターの「Juju」も取り上げています。
この透明感のある素直な声は唄というよりもひとつの旋律楽器として、時にはエフェクトとして機能しています。日本には居ないタイプのヴォーカリストですね。なによりバックのトリオのプレイに耳が奪われます。しなやかで、ゆらぐリズムと、浮遊感のあるヴォイスが独特の世界を形作っています。4ビート系では無いのですが、このレベルは、ただ者じゃありません。控えめな唄声なのですが「Alo Alo」ではパーカッション(ベースの胴とか色々叩いている音が聞こえる)のみのアカペラで圧倒的な歌唱力です。さらに「Weak」のケンドリック・スコットのプレイは強烈。最後には「Better Than」にワビサビを感じてしまうのは私だけでしょうか。
はからずも愛聴盤となってしまった1枚です
- Butterfly
- All That I Can Say
- Alo Alo
- Within Me
- Holding Back The Years
- Juju
- Weak
- On The Other Side
- Better Than
- Gretchen Parlato(vo,per)
- Taylar Eigsti(p,key)
- Alan Hampton(b,vo)1,3,4,5,6
- Mark Guiliana(ds)1,3,4,5,6
- Burniss Earl Travis ii(b,vo)2,7,8,9
- Kendrick Scott(ds)2,7,8,9
- Rec.Dec.5,6.2012
- ObliqSound