井上ひさしさんが、先月亡くなったので思い出したように読んでみました。初めて読んだのは小学校の頃だったかな。もう記憶の彼方で忘れていました。全共闘っぽいシュプレヒコールや言い回しが古い所もありますけど、この歳になってから改めて読んでみても、大笑いです。このバカバカしさは、清々しいですよ。思わずサイザーンス サイザンス!と唄ってしまいます。
児童文学として書かれているにも関わらず「常識を疑え!」というアナーキーな思想とナンセンスを根底に据えて、滅茶苦茶な世界観を繰り広げる自由な発想は、現代社会の閉塞感を打ち破るに足るパワーを持ち続けている所に驚愕するわけです。アリス・イン・ワンダーランドのルイス・キャロルなどと比較されるのですが、世界に対する攻撃性と愛情は、断然上です。
のりしろや、切り取り線が書いてある小説なんて見たことないでしょ。そんなエンターテイメントとしての児童文学者(放送作家)という立ち位置も忘れずに、しっかり楽しませてくれる優しさも、氏の人柄を感じさせて、惜しい人を亡くしたものだと、痛感する次第です。
毎日、恐竜図鑑を広げ新聞広告の裏に緻密な模写を日課としている甥っ子に「たまには文字も読んでみろ」と、この本を薦めてみようかしら。


