Live @ Jazz Is 2010/6/11

ライヴ前日レコーディングの仕事でスタジオに入りました。ビッグバンドとストリングスありの今どき珍しい豪華な大編成。録音はハードディスクでコンピュータを使ってデジタル権化な現場なのです。「すみませんー! Pro Tools 止まりましたー!(笑)」みたいな。気に入らない箇所は小節単位で差し替える事が時短に繋がるわけでホントに早く済んで有り難いのですよ。しかし、確実にノリとか音質、音量など変わってしまうのですが、そこはオペレーターの腕でミキシングしていくのですね。我々も均一に演奏しなくてはいけない事になるのです。素材としての音を提供するのがスタジオミュージシャンの使命なわけです。

確かに現場としては時間も限られるし、効率良く作業を進める事が出来ますが、これは本当の音楽じゃないなと。時間と空間を破壊してしまうのだから。

最初、3日間スケジュールされていて、2日間の録音作業でしたが、真ん中の一日に、このライヴがあったわけです。僕抜きのピアノトリオになると思って、大変申し訳ない気持ちで一杯だったのですが、中日が空いてホッとしたわけです。

ネタはスタンダードのアレンジものとオリジナルを少々。やっぱり何も決めず「せ〜のっ!」で突き進む瞬間がゾクゾクして気持ちいいなぁと、しみじみ思ってしまいました。決められたレールを走らない音楽、メンバーそれぞれの音楽的意外性が、演っていて、とても楽しいのですよ。NHKのスコラで紹介されていたエリック・ドルフィー「演奏が終わると、音楽はどこかへ消え去ってしまう。そして二度と捕まえることはできない」の言葉を痛烈に思い出しました。演奏者は勿論、お客さんとの空間と時間の共有こそライヴの醍醐味です。スピーカーやイヤホンで聴く音よりも生音を体で感じて欲しいと、特に若い人や子供達に体験して欲しいと切に思うのはオッサンになったからでしょうか。

ワールドカップ開幕と天気も悪くて不景気なせいなのか、お客さんは少なかったですが、とても楽しかったと言ってくれるので、有難いことです。そんなこんなで、こういうセッションは精神衛生上続けないといけないなぁと、思った次第です。一期一会の精神で日々を一所懸命に。


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