アウトレイジ

109シネマズMM横浜で観てきました。北野監督作品のカオスはアキレスと亀までの三部作で日和ってしまった感が強かったわけですが、やっとバイオレンスの狂気が帰って来たと小躍りしたワタクシです。

暴力団抗争を描いたストーリーですが、古き良き?日本ヤクザ映画とは違って、親も子も兄弟も無い勢力争いと発展していって、戦国時代の乱世を思い起こさせる騙し合いです。そして、策略と暴力によって生き残った者だけが勝者という、何でもありの殺し合いが繰り広げられるわけで、文字通り仁義なき戦いimage

いやーな、拷問&殺し方が満載です。歯医者のくだりは、思わずうなり声を漏らしてしまいましたよ。後半になって、銃器の殺し合いが中心になって、イマイチ。このあたりは昔のヤクザ映画の日本刀とドスの斬り合いの情緒が勝っているなと。キメには拳銃が必ず出てくる。そんな感じで刃物は少ない中、カッター指つめも捨てがたいギャグシーンとして撮られていて、指ラーメンのくだりは笑いも起きました。この笑いのセンスは流石にウマイ。

椎名 桔平の薄ら笑いの狂気、三浦 友和の腹黒さも凄かったけど、加瀬 亮の気持ち悪さが物凄かった。あの画面から、にじみ出る悪いオーラは何なのだ?と。ホント画面の片隅に写りこんでいるだけで怖かった…。

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告白

原作を読んで興味を持ったので観てみました。久々にチネチッタで観ましたが、平日にも関わらず(こんな悲惨なストーリーなのに)結構入っていましたね。

松たか子を、はじめ、役者は大変素晴らしい演技で、子供なのにねーと感心しながら観てしまいました。原作の長い告白をどう表現するのか興味深かったのですが、大した仕掛けはなく、ちょっと残念。しかし中学生の教室の雰囲気はリアルで、監督と出演者の子供達が話し合いを重ねたという結果、うまくいっていたと思います。肝心の告白が聞きづらいという弱点もありますが…。

泥水の中を駆け回るというわけの分からないスローモーションや、不潔直樹の顔に星が舞うマンガ的表現なんかで、アレッ?と思っていたら、突然爆発シーンで「パコと魔法の絵本image」に突入。え〜っ!中島哲也監督は、どうしてもコレがやりたいんだな。この後半が全く蛇足というか要らないんだよなぁ。折角の役者達の熱演が文字通り吹き飛んじゃった感じで残念。CG 入れた事で、物語が薄くなってしまった感が否めない。観客は、この絶望を受け入れられないほど、弱くはないと思うのですが…。そして、先生と修哉は直接会っちゃダメだよね。

全体としてはパコよりも「嫌われ松子の一生image」寄りにディープな題材を軽く表現したいのだなと監督の意図は分かりますがね。原作を読んで衝撃を受けたので、このシナリオは受け入れがたく噴飯ものなわけですが、原作を知らないで観たらどんな感想を持つのかなぁと。

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告白

プレシャス

109シネマズMM横浜で観てきました。平日にも関わらず上映館数が少ないからなのか、こんな暗い映画なのに客席は2/3程埋まっていて、結構入っていました。

サファイア原作「プッシュimage」の映画化。代替学校で働いていた作者の実体験を元に書かれた小説で、1987年のハーレムを舞台にしたお話です。16歳の黒人少女プレシャスは、生活保護を受ける貧困層母子家庭で育ち、読み書きができず、父親にレイプされダウン症の子供を産み、さらに二人目の子どもを妊娠中、嫉妬する母親からは執拗に虐待され、自分が肥満であることに強いコンプレックスをもっている、という究極に悲惨な主人公です。米国の貧困層ってジャンクフードしか食えないから肥満なんですよね。

日本でも生活保護の不正請求など、問題になってきていますが、この母親も一日中テレビを観ているだけで何もしないで生活保護を貰っている輩で、プレシャスに学校行くよりも役場で手続きしてこい!メシ作れ!みたいな、ろくでもない母親です。何故こうまでして娘を虐待するのかというのは、自分の旦那を取られたと強い嫉妬を持っているという異常な親子関係で、観ていて嫌になってくるわけです。バシバシ殴られても、灰皿投げつけられても、果てはレイプされても、我慢しているのですが、受け入れがたい辛さが極限にまで達すると、場面が、ガラッとフラッシュバックして空想の世界へ。そこは、スターになった自分の世界。スポットライトを浴び、イケメンがエスコートしてくれる、煌びやかな夢の世界。パッと目が覚めると、虐待されている自分…。現実逃避で意識を飛ばして耐えるというこの上なく可哀想な技を身につけているのですが、この場面の光と闇のコントラストは痛烈でした。

仕舞いには赤ん坊共々テレビを投げつけられて追い出されるというメチャクチャな展開なのですが、代替学校で出会った先生に助けられて自我を確立し成長する物語で教育の大切さに心底頷かされました。読み書きそろばんは基本です。といっても、勉強して貧困から抜け出せて良かった良かったという話で終わらないのが、普通じゃないところ。

監督はリー・ダニエルズといって元々 MTV などミュージックビデオを撮っていた監督で、流石にスター夢の世界の演出はバッチリ。ソーシャルワーカー役のマライア・キャリー、看護士役にレニー・クラヴィッツ、と、お友達スターをノーギャラで使っていたというのもスゴイし、そしてゲイ。プレシャスを導く女性教師もレズの設定だったしね。殆ど唯一といえる男性出演者のレニー・クラヴィッツの立ち位置が、この時代としては珍しい看護士でイケメンて事で、よく判らなかったのですが、この暗い話の中で、ちょっとした恋心って色ですか?でも結局女好きで玉砕。貧困、教育、同性愛、HIV などの偏見も時代背景としてよく出ていたし、大団円ではないにしろ、むしろ現在の米国の奮起を描く映画ではないでしょうか。人生賛歌などではなく、逆に強烈な絶望感を味わう映画なので心して観た方が良いと思いますよ。

鬼母役のコメディアンのモニークは、まさに鬼気迫る演技ですが、プレシャス役の新人女優ガボリー・シディベは、このために生まれてきたかのようなハマリ具合。マライア・キャリーの髪の毛ばさばさスッピンおばさんは、歳くったなーとビックリですが、とても上品で、おキレイでした。

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プレシャス(字幕版)

アリス・イン・ワンダーランド

TOHOシネマズ 六本木ヒルズで 3D 版を観ました。3D しかやってなかったの。やっぱり、IMAX じゃないとイマイチ。画面が暗いし、スクリーンが小さいし、観にくいなぁ。制作段階からステレオカメラを投入して 3D に特化したアバターとは違って、元々は 2D で撮って、所々切り出して 3D 化したみたいなのでバランスは悪いし、いきなり 3D 場面になるし、違和感がありました。普通の劇場で十分楽しめる訳です。映画芸術はテーマパークのアトラクションじゃないんだし、普通に撮った方が健全なのでは?とも思うのですが。

小学校の頃読んだ「不思議の国のアリスimage」「鏡の国のアリスimage」が合体したストーリーですが、四半世紀前に読んだ本の事は既に覚えていない…。挿絵が物凄く怖かったのは覚えていますがね。でかいアリスとかハンプティダンプティは、ひたすら気色悪かった絵でした。原作は7歳の少女の、狂気世界なのですが、映画では19歳の思春期で成長物語を主眼に置いている訳です。

が、ただのファンタジーとして描けば良かったんじゃないかな、と。アリスのお茶会の支離滅裂さは、もう少し!な感じ。赤の女王の可哀想すぎる…orz。対する白の女王のアン・ハサウェイは美しいながら、ちゃんと暗黒面が、にじみ出ている演技に好感を持てます。主人公モーハン状態の騎士コスプレは萌えますし、クリーチャーの中でもチェシャ猫は最高でした。ジョニデは、いつもの感じ。

そんなメチャクチャな世界で、冒険しているように見えますが、現実世界に戻ってきた毒舌アリスって成長しているわけでもなく、元からじゃん。結局、堅苦しい階級社会に、うんざりして爆発した、ねーちゃんの話になってしまった…。

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アリス・イン・ワンダーランド(字幕版)